【 行動科学に基づいたモテる新人育成のススメ 】Posted by MED Muraoka
2020年度もいよいよ終わりが近づいてきました。
来月には年度も変わり、
いよいよ新人先生は
社会人としてのスタートを切ります。
一方、今年度の新人先生は
学生から社会人という人生で最も激動の1年を終え、
2年目の先輩として次のステージに上がることになります。
先輩としてのステージとは、
「後輩を育成する立場」になるということです。
後輩を育成する際、
「なぜこの新人はこんなこともできないのか?」
「なぜこの新人は仕事の覚えが悪いのだろうか?」
とやり切れない思いを抱える2年目の先生も、
いかんせん出てくるかもしれません・・・。
そんな時、
”先輩の先輩”としてより経験を積んでいる先生方は、
どんなアドバイスをするのが適切なのか、
というのも、
前回のメルマガにて「心理的安全性」と
「仕事の成果」は密接な関係にあることについて指摘しています。
人的要因と仕事の成果が
より密接に関係してくる幼稚園において、
科学的アプローチで育成というテーマを扱うことで
少しでも皆さんの参考になればと考えたためです。
そこで今回は、より効果的な後輩育成を検討すべく、
”行動科学に基づいた後輩育成法”をご紹介させていただきます。
行動科学とは、
人間の行動を科学的に研究し、
その法則性を解明しようとする学問です。
非常に多くの人間の観察から得られたデータを分析しているため、
どんな人にも有効だと言われています。
巷に溢れている、
一部の限られた成功しているリーダーが提案している
「特殊な後輩育成法」とは一線を画すものです。
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1.「やる気」や「根性」を前提としない
一昔前とは異なり、
「お前やる気あるのか?」
「根性でなんとかなる!」
とひたすらに根性論を唱える指導者はめっぽう少なくなりました。
しかしながら、
ついついふっとその考えが頭をよぎることはありませんか?
「何度教えても同じミスをするのはやる気が足りないからだ!」
「必死でやれば、今日中に終わるだろ!」
といったようなイメージです…。
もし自分がこのような強い言葉を投げかけられたら――
と想像すれば想像に難くないのですが、
令和時代は特に先輩がこういった思考で指導に当たれば、
後輩は先輩についていくことはおろか、
どんどん離れていってしまう悲劇が起こってしまいます。
行動科学に基づいた後輩育成法では、
後輩が望ましい行動を取ってくれない時、
やる気や根性といった精神面に原因を求めるのではなく、
かたくなに行動だけに原因を求める姿勢が大切です。
そして後輩の行動を変えるためには、
先輩である自分自身の行動、
つまり教え方を変えることが最も効果的です。
この原則をまず、前提に考えることが大切だと言われています。
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2.望ましい行動があったら60秒以内に褒めること
行動科学では、
「ある行動をした直後にいいことがあると、
という行動原理を”強化”と呼んでいます。
つまり、身につけたい行動に対しては“強化をすればよい”
ビジネスにおいて最も手軽かつ有効な強化は、
褒めることだと言われています。
新人の先生が望ましい行動を取った後に、
その行動を継続してもらうためには
褒めることが最も有効かつ大切だということです。
ここで非常に重要だと強調すべきポイントは、
”褒めるタイミング”です。
望ましい行動が見られた日の翌日の朝礼の時や、
望ましい行動によって望ましい成果が出た後ではなく、
望ましい行動が見られた直後に褒めることが大切なのです。
時間が経ってから褒められたとしても、
それは有効な強化にはなりにくいものなのだそうです。
例えば、
私たちは「ダイエットをしたい!」と考える時、
激しい有酸素運動や厳しい食事制限といった、
節制を継続する必要があります。
ただ、そのような節制を続けても、
「体型が見違えるほど変わる」
「昔履けていたズボンが履けるようになる」といった、
明確な形での自身へのご褒美に即つながるかと言われると、
必ずしもそうではありません。
節制の継続によって自分が望ましい姿を手に入れるのは、
努力を開始したずっと後になるのが一般的です。
努力を始めてすぐに結果を求めたくなるのは人間の性です。
逆を言うと望ましい結果にたどり着けない場合、
どうしても節制を継続できないのもまた人間の性といえます。
先の例にならうと、
ダイエットを地道にコツコツ続けるには、
節制(努力)をした直後に、
自分にちょっとしたご褒美を与えることです。
激しい有酸素運動の直後に、
ゆっくりとお風呂でリラックスするのも良いでしょう。
厳しい食事制限の直後に、
少しだけ甘いものをつまむのもまた良いでしょう。
(あくまで”少しだけ”です!)
直後とは、具体的には「60秒以内」が望ましいと、
行動科学の研究では実証されています。
さて、長々とダイエットを例にとりましたが、
後輩育成に話を戻しますと、
後輩の先生が望ましい行動を取ったら60秒以内に褒めること。
これを心がけることで育成効果が期待できそうです。
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最後にもう1つだけ行動科学に基づいた後輩育成法を
ご紹介したいと思います。
それは、
1度に伝える行動は3つまで。これ以上は記憶に残らない。
ということです。
人間は1度に数多くのことを言われても、
それら全てを正確に受け止めることはできません。
昔からあるビジネスにおける格言として、
“1言、2ケタ、3つまで”という言葉があります。
これは指示を出す際
・1言(短く明確にという意味)でまとめる
・数字を伝える際は2桁まで
・1度の指示で正確に動けるのは3つまで
の3点を意識することが大切という意味です。
例えば保護者の方々への対応であれば、
「必ずこちらから声をかける」
「しっかりと目を見て挨拶をする」
「忘れずに園だよりを渡す」
というように簡潔な指示を、
1度に3つまでにとどめて伝えることで、
指示を受けた側は指示通りに動きやすくなるということです。
「新人の先生が思うように動いてくれない!」
ともどかしく感じる時は、
“1言、2ケタ、3つまで”を意識して指示を出すことが、
効果的と言えるでしょう。
行動科学に基づいた後輩育成法をぜひご参考にしていただき、
新しい年度をより良い形で迎える一助となれば幸いです。