【 押してダメなら引いてみろ! 】Posted by Hayashi
採用のトレンドは毎年のように変化していますが、
今年は、
押すよりも引くほうが良い傾向にあるようです。
多くの園で人手不足の状態であり、
喉から手が出るほど人が欲しい
という園もあるかと思います。
しかし、学生や求職者と接するときは、
出来る限りその気持ちを抑えて
コミュニケーションを取るということが重要です。
合同就職説明会でも実習でも園見学でも、
採用したいという気持ちが強ければ強いほど、
積極的に自園に就職を促し、
囲い込むような声掛けをしてしまいがちです。
しかし、今年採用がうまくいっている園は
自園をあくまでも就職先の一つとして見てもらい、
たくさんの園を見て回ることを促している傾向にあります。
現在の保育士の有効求人倍率は
約3倍と言われています。
有効求人倍率3倍ということは
1人につき、3つの園から
就職のお誘いがあるという状態です。
求職者と園の関係を
需要と供給のバランスで言い換えると
供給過多の状態になっているということです。
このような情勢では、
多くの学生が実習や園見学の段階で
その園の先生から就職について声掛けをされています。
しかし、
このような状態だからこそ
余裕を見せることが重要です。
もちろん捉え方は一人ひとり異なりますが、
必死に囲い込もうとすればするほど、
採用に困っている園という印象を
与えてしまう可能性があります。
そのため、
押すのではなく、
少し引くということがポイントです。
求職者と接する際は、
世の中にはたくさんの園があり、
その園の中から自分に合った園を
選択してもらうということを大切にし、
あくまでも就職先の一つとして
自園を検討してもらうスタンスが重要です。
このことは実は
採用におけるポイントになるだけでなく、
就職してからの離職率にも関わる可能性があります。
その理由は以下の二つです。
①自園の魅力を理解できる
②自分で決めたという自覚を持つ
まず、他園を知ったうえで自園に就職をすることで、
他園と自園の違いがわかり、
自園の魅力をより深く理解できます。
もちろん、他園を知ることで
自園のネガティブな部分も
見えてしまう可能性がありますが、
そのことを知ったうえで就職を決めるかどうかは、
就職後のミスマッチを防ぐことにも繋がります。
私たちはよく園の魅力抽出をする際に、
3Cというフレームワークを活用します。
3Cとは
「市場(customer)」
「競合(competitor)」
「自社(company)」を表していますが、
幼稚園業界で置き換えると
「保護者・地域」「他園」「自園」
ということになります。
この三つの視点を持つことで
本当に自園の魅力は何かを
理解することができるようになります。
しかし、実は他園というのは
就職してからなかなか知る機会がありません。
求職者にとって、
就職活動はいろいろな園を見るチャンスでもあり、
そのことが魅力の理解に繋がり、
ミスマッチを防ぐことにも繋がります。
また、就職先を「自分で決めた」と思うか、
「人に決めてもらった」と思うかで、
働き出してからのモチベーションは
大きく異なります。
人に決めてもらったという気持ちがある場合、
何か不都合なことがあると、
その原因を自分ではなく、
自分の外にしてしまう傾向にあります。
そして、それが続くと
早期退職につながる可能性もあります。
逆に自分が決めたという気持ちがある場合、
多少の不都合があったとしても
自責の念を持つことができます。
押すのではなく、少し引くというイメージを持ち、
求職者と接してみてください。
しかし、その中でも
自園の魅力は最大限に伝える必要がありますので、
魅力を伝える、感じ取ってもらうための活動
をしっかりと行い、
そのうえで、少し引くというスタンスで
採用活動を進めてみてください。
採用のトレンドは毎年のように変化します。
少し引くスタンスの園が増加すれば、
押すスタンスで就職活動をしたほうが
採用がうまくいくケースもあります。
毎年採用活動開始と同時に、
どちらのほうが反応が良いか、
学生へのアプローチを変化させてみることも大切です。