【 対話による価値観の共有 】Posted by Shidara
人材の採用及び育成は最も重要な経営要素です。
とりわけ、新制度園におけるこれらは、
直に収入に結びつきますから
より切実な課題となります。
次の2つのサンプルを比較すると、
職員1名の差で
収入に大きな違いがでていることが分かります。
【 サンプル① 】
【 サンプル② 】
サンプル①,②は
16/100エリアで
同一条件で公定価格を計算した結果です。
同じ園児数でも職員数がひとり違うだけで、
実に年間600万円もの収入差額が生まれます。
採用がうまくいかないと
そもそも600万円の見込みが立たなくなりますし、
年度途中で退職となると、
選択している加算等によっても変わりますが、
この600万円が消失するばかりか、
さらに余分なマイナスが発生する可能性をはらんでいます。
岸田首相の5つの新しい政策の中の
「新しい資本主義の実現」の中で、
エッセンシャルワーカー(幼稚園教諭、保育士含む)の
所得向上に向けて公定価格を抜本的に見直すと言明しています。
ただし、手放しで所得が増えるということではありません。
前回のメルマガで林が指摘したように、
処遇改善加算に関しては、
特にⅡの運用ルールが厳格化されます。
それによって、処遇改善加算Ⅱの受給対象者は
所定の研修終了が義務付けられますので、
途中退職者が出た場合には
継続的に配分できる対象者がいなければ、
園側、受給者側双方にデメリットが生じる可能性があります。
これは、幼保業界の人材育成計画
及びその実行面での助成評価が
引き続き厳格化されていくことを示唆しています。
人材採用及び育成方法が適切に行われないと、
経営に与えるマイナスの影響は大きくなります。
採用・育成が好調な園では、
以下の共通点があります。
①発信される情報に独自性(”らしさ”をまとった)がある
②広報用の情報と現場の実態に乖離がない
③問い合わせ~内定までのリードタイムが短い
④内定後のフォロー体制が充実している
⑤経営者(層)と職員の心理的距離が近い
⑥経営、運営の軸が明確で共通理解が図れている
①③④は採用や技術面でカバーできる領域ですが
②⑤⑥は育成が伴い、
本質的なあり方の追求が必要な領域です。
さらに、①③④は②⑤⑥が実現していれば、
そのほとんどを実現することができます。
⑤経営者(層)と職員の心理的距離が近いことは、
採用・育成において近年特に重要性を増しています。
⑤の実現には“対話”が欠かせません。
対話とは指示命令とは異なり、
相手の話を聞き、自分の話を聞いてもらうことで、
関係性を築くコミュニケーションを指します。
対話を繰り返すことで、
経営者の価値観が共有されるため、
コモンセンス(共通認識)が高まります。
コモンセンスが高まると職員も経営者の立場を鑑みて
物事の判断ができるようになりますので、
園としてやるべきこと、やらざるべきことを念頭に
行動できるようになるとともに、
ホウレンソウダネ(報告、連絡、相談、打診、根回し)
結果的にケアレスミスが減少します。
自らが原因となって起きる小さなミスが減れば、
マイナスの指導を受けることも少なくなりますので、
園内の雰囲気はとても良好なものになっていきます。
人々の持つ価値観は多岐にわたります。
日本社会でも“多様性”という言葉が徐々に浸透し、
“自分らしさ”を大切にしようという風潮も増しています。
それと同様に個人の集合体である法人にも
“法人らしさ”は必要です。
少なくとも組織に属して働く以上、
自分らしさよりも法人らしさが優先されることは
言うに及びません。
“法人らしさ”の源泉となる経営者の価値観を
対話を通して共有し、より人が育つ環境をつくりあげて、
地域に必要とされる園づくりをしていきましょう。
採用・育成の強化による収入の維持、拡大は、
経営者が持つ価値観共有の強化と密接につながっていますので、
まずはそこから始めていきましょう。