・こども家庭庁の予算案の概要が発表されました
・保育体制強化事業の拡充を予定
・ 保育所等の空き定員を利用した未就園児受け入れのモデル事業がス タート予定
・ 保育所の未就園児受け入れは園児募集に影響が出る可能性がありま す
・0歳から1歳児でのアプローチ強化を!
12月23日に2023年度の当初予算が閣議決定され、
こども家庭庁の予算案についても明らかになりました。
今回はその中での新たな取り組みや
拡充するという内容について
一部を取り上げてご紹介したいと思います。
こども家庭庁についてはまだまだ分からないことが多いですが、
予算案が出ることで取り組みの方向性はわかってきます。
・保育体制強化事業の拡充
こども家庭庁の一つの大きな方向性として、
人員配置の充実があります。
今回の予算案で示されている保育体制強化事業の拡充は
人員配置の充実を意識したものだと考えられます。
具体的に言えば、
今までの保育体制強化事業は、
・保育支援者(保育士資格を有しない人で、 保育の周辺業務を行う人)の配置
・児童の園外活動時の見守り等の配置
を通して保育士の負担軽減を図るというものでした。
今回はこの中に「スポット支援員の配置」というものが追加されて います。
保育支援者のほかに登園時の繁忙な時間帯や
プールの活動時の一部時間帯など、
スポット的に支援者を配置する場合も補助をする
というものです。
一つ懸念点としては今までの保育体制強化事業は、
基本的に幼保連携型認定こども園、保育所型認定こども園、 保育所が
対象となっている行政がほとんどでした。
多くの場合、 幼稚園型認定こども園や幼稚園が対象となっていません。
こども家庭庁ができることで、このあたりの補助の範囲が
どこまで拡がるのかというところもポイントになります。
保育支援者の配置については、
幼稚園教諭免許や保育士資格などが求められないため、
配置をしやすいというところもあります。
すでにそういった人員を自園で負担して配置している
という園もあるかと思いますが、
そういった方々に利用できるものになると予想されます。
・ 保育所の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事 業
このメルマガでも何回かご紹介させていただきましたが、
保育所の空き定員を活用して、保育認定に関わらず、
保育所を利用することができる、という仕組みが
いよいよスタートします。
今回の予算案ではあくまでもモデル事業となっていますので、
テスト的に行い、保育所の多機能化に向けた効果検証をする
ということが目的になっています。
具体的には
定員に空きのある保育所について、
保育所や幼稚園を利用していない未就園児を
継続して週1~2日程度の定期的な預かりを実施する
というものです。
幼稚園の未就園児教室で行われる場合がある、
母子分離教室によく似ています。
具体的な補助単価は、
年間延べ利用数が300人未満の場合で5,981,000円、
年間延べ利用数が300人以上900人未満の場合で6,326, 000円、
年間延べ利用数が900人以上の場合で6,542,000円
という内容になっています。
幼稚園から見れば、母子分離教室にそれだけの補助が出る
ということはとても大きな内容になるのではないかと思いますが、
「定員に空きのある保育所等」という記載が
どこまでの範囲を示すのかはまだわかりません。
おそらく保育所の多機能化が目的ということになっていますので、
基本的には保育所を対象としたものになる可能性が高いと考えてい ます。
あくまでもモデル事業という形であり、
基本的に市区町村の公募によって
募集をするということになっていますが、
認定に関わらず、保育所を利用できる
可能性が出てきたということを考えると
今後の動向によっては幼稚園の園児募集に影響を与えそうです。
今後は保育所が未就園児へのアプローチが可能となるということを 想定し、
幼稚園としては子育て世帯に少しでも早い段階で
幼稚園との接点を持ってもらうための仕組みが
より重要になってくると予想されます。
具体的に言えば、1歳児、2歳児については、
すでに保育の利用率が60%程度になってきていますので、
0歳児から1歳児へのアプローチが鍵です。
そのほかにもこども家庭庁の予算案については、
・地域少子化対策重点推進交付金(結婚新生活支援事業など) の拡充
・産後ケア事業の拡充
・低所得の妊婦に対する初回産科受診料支援事業の新設
・未就園児等全戸訪問、アウトリーチ支援事業の拡充
・地域におけるいじめ防止対策の体制構築の推進
などがポイントとして挙げられています。
今回は幼稚園の園児募集や採用に関わる可能性がある、
保育体制強化事業と保育所の空き定員を活用した未就園児の受け入 れについて
取り上げさせていただきましたが、
ぜひ一度こども家庭庁の予算案について、 目を通していただければと思います。
国の動きや制度を把握することで、
今後の園児募集の方向性や補助金の活用など、
幼稚園経営に関わる情報を得ることができる可能性があります。
ぜひ積極的に情報を集めていきましょう。