DIARY

【自園の認知度は5掛け、人気度は2掛けくらいで準備しよう!】

<本文のポイント>
・自園は自分たちが思うほど知られていない
・満3歳児入園はきちんとPRしないと知られない
・LP(ライディングページ)と広告の運用が要
・自園のファンが生まれるプロセスは0-1歳からの関わりにある
 
 
 
<本文>
2022年の園児募集を総括すると、
満3歳児(4年保育)入園の規模を拡張し、
3年保育より前の段階から入園できることへの認知度を高めた園が
より顕著に募集目標を達成する傾向がありました。
 
 
今年度の園児募集で募集目標をある程度達成した園は、
園ごとの差はあれど3歳児(年少)はこれまでの募集定員の
60%~70%程度に落ち込む園が多く、
満3歳児で減少した園児分を補填する、
という募集構造になっている園が多かったです。
逆に、満3歳児募集のシクミが整っていなければ、
園児数回復への見込みをたてるのが難しい状況だったと思います。
 
 
昨今の園児募集におけるポイントは次の2つに集約され、
ここを抑えて募集活動を展開した園が目標を達成しています。
 
ひとつは、
就労家庭にとって自園が入園可能な園と認識している対象者はほとんどいない
という前提に立つこと。
 
そしてもうひとつは、
2歳児(満3歳)が幼稚園に通えることを知っている親はほとんどいない
という前提に立つこと。
 
 
これは、認知度人気度という認知価値の違いが関係しています。
 
勿論、物理的に皆さんの園の存在を知っている人はたくさんいます。
これまで培ってきた長い歴史の中、園の特徴を知っている人も少なくないはずです。
でも、入園したい!という人は減っていませんか?
 
自園はバスも走らせていて、主要な場所に看板も出している、
また、HPも最新の設えと共に丁寧に更新しており、インターネット検索にも強い。
この地域で、「幼稚園」と検索したら、
間違いなく自園が知られる状態にある!という園もあります。
 
それでも、入園希望者の増加に結びつかない…
ということが、今の時代に起こっている現象で、この現象の正体は、
「自分たちが思っているほど自園は知られていない」です。
 
 
これまで本メルマガでは、
幾度となく商圏調査の重要性を説明してきました。
商圏調査というのは、
①対象人口の動向 
②競合の動向 
③自園の保護者の動向
主にこの3点を調査し、自園の募集の影響力を理解することを指します。
 
 
ここ2年は、①対象人口の動向を重点的に見ていますが、
どのエリアでも1歳児の就園率が上がっており、
幼稚園における2歳児(満3歳)入園の募集マーケットが
縮小しているのが分かります。
 
小規模保育園が多く整備されているエリア(東京特別区など)だと、
1歳児の就園率は70%近くまでなるエリアも少なくありません。
このエリアにおいて2歳児(満3歳)の園児募集マーケットには
対象者が30%しか残っていないということになります。
一方、同じエリアの2歳児3号認定児(保育所等)の就園率に目を向けると、
70%を超えるところはほとんどありません。
 
つまり、2歳までのタイミングで保育(3号)認定となる子供の多くは
1歳までに保育所等に入園していることが分かります。
 
ここに、満3歳児入園を強化するチャンスがあるのです。
 
大事なので、別の表現方法でもう一度お伝えしますね。
”保育所に通うことが「決定している」家庭の子ども”は、
1歳までに保育所への入園が決定し、
保育所に通うことが「決定ではない」家庭の子どもは、
ほとんどが3歳になるまで動かない、
と、推測することができます。
 
なので、 4年保育で 通える園だということを丁寧に告知することで、
幼稚園に満3歳児入園で通うというキャンペーンを強化しない手はありません。
 
※因みに東京都は23年10月より0~2歳の第2子以降の保育料についても
 無償化にすることを発表していますので、募集戦略はもう少し検証が必要。
 これに連動して、他自治体でも第2子の保育料を見直す動きも出てきそうです。
 
勿論、3歳児よりも職員配置を手厚くする必要もありますし、
専用の部屋を用意したほうが受入体制は充実しますので、
それなりに手間と労力がかかるのですが、
満3歳(2歳児)で入園できるということを知ってもらい、
且つ、自園の教育価値と魅力を体験できる場があることを、
3歳未満の子供を持つ家庭に広く知ってもらいましょう。
 
自園を「知っている」ことと、
「理解している」ことの間には、天と地ほどの差があります。
 
成熟社会では「限界効用逓減の法則※」が強く働くので、
目新しさや追随可能な付加価値で入園まで導くことは難しくなります。
価値を知ってもらい、教育をきちんと理解してもらうことで、
自園のファンが生まれていくプロセスがとても重要なのです。
丁寧にこのプロセスを踏んでもらい、
入園の意思決定まで至る仕組みを組み立てることが重要です。
 
※限界効用逓減の法則:経験値が上がることで感動量が減る法則
 例)2杯目のビールは1杯目を超えることはない
   満腹時のステーキは空腹時の塩むすびに適わない など
 
 
2歳児(満3歳)入園の認知度を高める上で、
今年最も反応が高かったのが、満3歳児入園の見学説明会を
高頻度(月1回以上)で行い、多くの対象者を集め、
入園に導いたといった事例が多くみられました。
 
千葉市内にある千葉白菊幼稚園(鳰川泰也 園長)では、
通常の入園説明会終了後の11月中旬から月に1度説明会を実施して、
19名の入園対象者の集客に成功しています。
 
 
これが1つ目のポイントとなる、
認知度を高めるための活動となります。
2歳児(満3歳)入園マーケットが成長期にあるため、
説明会への参加者数も入園決定率も高くなります。
 
 
そして、2つ目ですが、
コチラは、接触頻度が高い状態で長期間関わるコミュニティをつくることで、
対象者との良好な関係構築ができますので、
入園意欲の高い人(≒ファン)を生み出すことができるようになります。
 
先に触れた通り、
高いエリアでも、30数%の1歳児は無所属です。
逆の言い方をすれば、この30数%の母子にとって魅力的な場所になれば、
このマーケットを獲得することが可能なわけです。
 
千葉県銚子市は出生人口が200人に満たない超少子化エリアです
ここで、魅力的な0-1歳の親子ひろばを展開し、
園児募集の著しい実績を出しているのが
市内唯一の学法園である銚子幼稚園(幼稚園型認定こども園:廣野観匡 園長)です。
 
MomCafe(マムカフェ)を展開し、
お茶でおもてなしをし、季節ごとのフォトブースを用意して、
保護者にとって居心地の良い場所を提供しながら、
保護者と園側の良好な関係性を構築しました。
 
そのうえで、幼保認こ園の違いについて理解が不十分な
保護者向けに、家庭の状況や就労意志の有無などをヒアリングしながら、
”進路”相談会を実施し、とにかく幼保のプロとして、
相手にとって役に立つコンテンツを提供しつづけた結果、
入園意欲の高い人(ファン)が生まれるようになり、
未満児マーケットの開拓に成功し、これまで苦戦を強いられていた
園児募集に新たな兆しを見出すに至りました。
 
つまり、この園に入りたいという人が育っていき、
認定こども園で、就労していても3歳未満から入園可能で、
教育もしっかりとしてくれるんだ!
という認知度がある状態を創りだしているということです。
 
これが人気度を高める活動ということになります。
 
 
幼稚園、保育園が対象とする年齢の子供を持つ保護者層の就労率は高く、
今後大きな上昇はないと仮定すると、
これらのポイントを抑えることは次年度以降も募集の有効打になり得ると考えられます。
 
 
是非、自園の募集ないし、経営計画を策定して、
理想の園児募集を展開してほしいと思います。