・75年ぶりに職員配置の変化が起こる
・就労要件に関わらない「誰でも通園制度(仮)」が創設予定
・園児募集の低年齢化がさらに進む可能性がある
3月31日に発表された異次元の少子化対策のたたき台について、
まとめられた資料が4月2日に公開されました。
その中には当初発表されるであろうと言われていた、
「児童手当の所得制限の撤廃」や、
「出産育児一時金の増額」、「奨学金制度の充実」、
「子育て世帯への住宅支援の強化」、「伴走型相談支援」、
「小1の壁の打破」、「男性育休の充実」、「扶養の壁の打破」 など、
様々な内容が盛り込まれています。
今回メルマガでご紹介させていただく内容は、
上記内容のほかに、特に幼稚園経営において、
影響が大きくなることが予想される内容について
触れていきたいと思っています。
①職員配置の変化
今回のたたき台の中で以下のような内容がございます。
「幼児教育・保育の質の向上 ~75 年ぶりの配置基準改善と更なる処遇改善~」
75年ぶりの配置基準改善という言葉を見る限り、
とても強く打ち出している注目の政策であることが窺えます。
配置基準の見直しにおける具体的な内容は、
・1歳児について6対1の配置基準を5対1に変更すること
・4歳児、 5歳児について30対1の配置基準を25対1に変更すること
という二つが挙がっています。
私学助成制度の幼稚園は対象外になると想定されますが、
おそらく施設型給付制度の幼稚園については、
対象になると予想されますので、
多くの幼稚園で影響が出る可能性があります。
この配置基準が基本になるのか、加算になるのか、
ということはわかりませんが、3歳児配置改善加算のように、
金額的に大きくなる加算であれば、
積極的に採用強化をする法人が増える可能性があります。
昨今人材不足だと言われ、 採用活動に力をいれる法人が多くなっていますが、
今後もこの変化によって採用は継続的に重要な課題になっていくと 予想されます。
②こども誰でも通園制度(仮)の創設
以前から0歳児から2歳児について、
保育所の空き施設を活用して保育の認定に関わらず、
子どもを預けることができる仕組みを作る
という形で話は挙がっており、
今年度からそのモデル事業がスタートしています。
今回発表された内容は以下です。
「0-2歳児の約6割を占める未就園児を含め、
子育て世帯の多くが「孤立した育児」 の中で不安や悩みを抱えており、
支援の強化を求める意見があることから、
全てのこどもの育ちを応援し、 全ての子育て家庭への支援を強化するため、
現行の幼児教育・保育給付に加え、
就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付の 創設を検討する。
当面は、未就園児のモデル事業の拡充を行いつつ、 基盤整備を進める。
あわせて病児保育の充実を図る。」
就労要件という文言が入っていることから、
保育所や認定こども園を指しているものだと考えられます。
要約すると保育所やこども園について、就労要件に関わらず
利用が出来るようにしていくということになると思います。
対象年齢については詳細はわかりませんが、
0歳児から2歳児の未就園を含め、 という表現になっていますので、
0歳児から5歳児の範囲で就労要件に関わらず利用が出来るように する
という可能性もあるのではないかと思います。
この制度が構築されたとき、
例えば以下のような内容が考えられます。
・認定こども園の場合、満3歳児の受け入れを行っている園は
2歳児から公定価格の対象になる可能性がある。
・認定こども園の場合、母子分離教室を行っている園は、
公定価格の対象になる可能性がある。
・定員充足が出来ていない保育所や認定こども園が
0歳児から2歳児の専業主婦世帯へのアプローチを強化する。
・もし3歳児から5歳児についても就労要件が外される場合、
保育所は自動的に認定こども園のような形態になる可能性がある。
などです。
様々なことが考えられますが、
いずれにしても特に0歳児から2歳児の育児について
多様化が進み、 保護者にとっては様々な選択肢ができることになります。
幼稚園で考えた場合では0歳児から2歳児において、
すでにどこかの保育所や認定こども園を利用した経験があるご家庭 が
増加していくということが予想されます。
現在では無償化の影響によって満3歳児の園児募集が
一つの重要なポイントになっていますが、
今後この制度が形になった場合、
さらに募集の低年齢化が起こることも予想されます。
上記の「①職員配置の変化」「②こども誰でも通園制度(仮) の創設」
についてはこれからの3か年で実現していくという方向性になって いますので、
遠い未来の話ではないということがわかります。
先日、大阪市の行政の方とお話をした際に、
大阪市では0歳児から2歳児の無償化の話についても、
今後進んでいく可能性があるということをお伺いしました。
こういった動きを踏まえると、
親子ひろばでも、保育機能でも
今から0歳児、1歳児へのアプローチができる体制を
しっかりと整えておくことはとても重要です。
人口などのマーケットの変化を読み取ることは
とても難しいものですが、
制度に関しては一度発信されたものについては
そのようになることがほとんどです。
出来る限りこのメルマガで重要な事項については
お伝えさせていただきますが、
こども家庭庁の誕生年でもあるため、
ぜひ内閣府やこども家庭庁の動きに注目していただければと思いま す。
これからの制度の変化や行政の動きなどを的確に捉え、
その変化に向けた準備を早め早めに行っていきましょう。