<本文のポイント>
・新卒は自園の理解を深めて入職に至るため、
継続して働くことで魅力の発信手になる
・新卒は、中途に比べて定着しやすい傾向にある
・早期離職による経営的損失を防ぐためにも、定着は重要
・先輩の姿や関わり方が、後輩の転職意向に影響する
<本文>
新卒で入職した先生が1年以内に離職、という事態を
多くの園が、これまで経験したことがあるのではないでしょうか。
大阪公立大学が、 大阪府内の私立保育施設306か所に実施した調査結果によると、
過去3年間に、1年目の離職者がいた施設は 58.4%という結果でした。
さらに3年目までの離職者がいた施設は、81.8% にものぼります。
さらに3年目までの離職者がいた施設は、81.8%
「早期離職」は、 多くの園にとって身近なものであることが分かります。
新卒が定着することは、園経営において重要なことです。
その理由を、3つの視点から解説いたします。
1.新卒は、自園の理解を深めて入職に至る
新卒と中途では、就職時の視点に違いがあります。
新卒と中途それぞれの就職園選びで重視する項目を比較したところ
下記調査データの通り、新卒は園の“ソフト面” を重視している傾向にあり
一方で、中途は“条件面”が上位に挙がりました。
▼新卒学生が 園選び で重視する項目
▼中途求職者が 園選び で重視する項目
新卒は「人間関係」や「保育内容」を重視しています。
一方で中途は、「勤務日数」「給与」「時間」「雇用形態」 などの勤務条件が上位に並び、
「やりがい」「運営方針」といったソフト面の項目は40% に満たない結果となっています。
中途は、仮に園の教育内容や人的環境への共感が低い場合でも
就職希望に至るケースがあるということです。
新卒は、園への理解を深めた上で就職する傾向にあり、
経験が浅いからこそ物事を素直に吸収し
自園の色に染まることができます。
新人育成に注力することで、自園らしい人財が定着し、
自園の魅力を発信できる人財へと成長していくのです。
2.新卒は、中途に比べて定着しやすい傾向にある
中途は、転職活動の手段として、人材紹介会社や求人サイトなど
民間職業紹介事業者を利用するのが一般的になっています。
しかし「保育分野における職業紹介事業に関するアンケート調査」 によると、
民間職業紹介事業者を経由して就職した保育士は、
採用後わずか半年以内の離職率が33.3%という実態が明らかに なっています。
新卒に関しては、 8割の学生が園の求人票や就職に関する資料を見ており、
人材紹介会社や求人サイトに頼らない園探しが一般的です。
前述した通り、中途の求職者は“条件面” に注目しやすい傾向があります。
園の風土への理解や共感が不十分なまま就職することは、
就職後にネガティブなギャップを感じる可能性が高く、 職場定着は難しくなります。
園の“ソフト面”に目を向けて、
園情報を自らキャッチしている新卒を定着に結び付けましょう。
3.早期離職は経営的損失に繋がる
早期離職は、「人手が足りなくなる」ということ以外にも、
採用にかけた時間と費用を損ねる
経営的損失が大きなデメリットとして挙げられます。
採用にかかるコストには、求人サイト掲載の広告費・
パンフレット制作費・ 就職フェアへの出展・教育コスト等が挙げられます。
新卒学生の就職に関する調査・研究を行っている
就職みらい研究所から発表された就職白書2020によると、
2019年度新卒採用一人当たりの平均コストは、93. 6万円でした。
就職みらい研究所から発表された就職白書2020によると、
2019年度新卒採用一人当たりの平均コストは、93.
時間と費用をかけてせっかく採用しても、
早期離職に繋がってしまっては大きな損失でしかありません。
まずは離職を防止し、定着させることが重要なのです。
新人を定着させるためのポイントの一つに、
先輩の存在が挙げられます。
下記の調査データより、
目標としたい人がいる場合は転職願望が低い傾向があり、
憧れとなる先輩の存在は転職意向に影響することが分かっています 。
職場に目標にしたい人がいる群・
「転職することは考えていない」と回答した割合に
19ポイントの差が生まれる結果となりました。
憧れとなる人がいるかどうかは、
若手の転職意向に大きく影響することがいえます。
また下記の調査データによると、
先輩との関係性も、転職意向に影響することが分かっています。
先輩との関係性に難しさを感じた理由として
「威圧的に感じる」「気分に浮き沈みがある」「 指示に一貫性がない」
といった理由が上位に挙げられます。
「威圧的に感じる」「気分に浮き沈みがある」「
といった理由が上位に挙げられます。
このように、新人が定着して活躍していくためには
先輩自身の姿や関わり方が重要なのです。
自園のソフト面に惹かれた新人が魅力の語り手になるため、
また、先輩が後輩から憧れられる姿になっていくため、
双方に必要な知恵や技術を具体的にお話させていただく
「新人+先輩 W育成塾」という若手勉強会を開催いたします。
第1回を7月1日に予定しており、
オンラインでのご参加もできる勉強会です。
若手が育つ土壌づくりに、 ぜひチャレンジしていただければと思います。