DIARY

【 園児募集クライシスをどう乗り越えるか?】

==============
園児募集クライシスをどう乗り越えるか?
==============

<本文のポイント>
・園児募集のトレンドのピッチが短くなっている
・人口減少と低年齢化がすすむ
・地域一番園化と園児募集の募集の仕方

<本文>
園児募集のトレンドは、
2000年代に入ると、それまでの2年保育から
3年保育へと移行し、
子ども・子育て支援新制度が開始した
2015年あたりから満3歳児受入れが動き出し、
2019年の幼児教育・保育の無償化により
一気に4学年へと受入れ幅が広がりました。

減少する3年保育入園の子どもの数を
満3歳児入園の拡大でカバーする形にし、
園児数を保ってきたというケースは少なくないですが、
すでに満3歳児入園にも陰りが見えはじめ、
いわゆる幼稚園児(1号認定児)の園児募集が
難しさを極める時代に突入しました。

就学前教育保育施設に通うことができる児童数は
2024年度に生まれた子どもを除くと、
年長(2018年生) 918,400人
年中(2019年生) 865,239人
年少(2020年生) 840,835人
2歳児(2021年生)811,622人
1歳児(2022年生)770,759人
0歳児(2023年生)727,277人
合計4,934,132人になります。

就学前教育保育施設の受入れ可能数(定員数)と
各学年の就園率(推定)を掛け合わせると、
年少(3歳)以降の受け入れがいかに難しいか
見て取れますので、少し解説します。

昨年9月に子ども家庭庁が発表した
「保育所等関連状況取りまとめ(令和5年4月1日)」によると、
”保育所等”の受け入れ可能数は3,050,928人です。
この定員数は、0~5歳人口の62%をカバーします。

ここに、私学助成の幼稚園の推定募集定員数(2619園×180名(推定値))
を掛け合わせると、およそ326万人分の受け皿があるという計算になります。

ここで再度上のグラフに目を向けると、
定員約305万人に対して実員は272万人しか埋まっていないのがわかります。
つまり、少なくとも”保育所等”に関しては過剰供給になっていると言えそうです。

GCLIPが実施した直近3年のマーケット調査をもとにすると、
0歳児の入所率はおよそ30%程度、
1歳児で60~70%程度、
2歳児で70~75%程度となっています。
これは、調査対象商圏の就学前教育保育施設の定員数を、
同商圏内の0-5歳人口で割りだした数値で、
全国どのエリアでもおおよそ同じ割合の結果となります。

これらの数値と募集のトレンドをもとに判断すると、
満3歳児(2歳児)の受け入れが難航する昨今のトレンドは、
1歳児受入れが園児募集のポイントとなることを意味します。

制度がそうなっているからなのか、
あるいは、今の子育て世代のニーズがそうなっているからなのか?
いわゆる鶏が先か、卵が先か・・・という議論はさておき、
子ども子育て支援新制度開始以来、
幼保連携型認定こども園数が大きく伸びている理由もうなづけます。

この状況では私学助成園はもう園児を集めることができないのか?
という問いが、私学助成園の経営者ならば当然浮かぶと思います。

結論から申し上げましょう。
集めることはもちろん可能です。ただし、2つほど条件があります。
ひとつは、圧倒的な地域一番園になっていること。
もうひとつは、地域一番園であることを
知ってもらうためのプラットフォーム(PF)があること。

ひとつ目はやはり数です。
在園児数というよりは、ブランド指数※で1番になっていること。
そして、シェア(市場占有率)で1番になっていること。
長くなるので詳細説明はまたの機会にしますが、
ブランド指数とは、
自園がその商圏で獲得できる園児数を100%として計算する指数で、
200%(獲得能力の2倍)以上でブランド園となる。
シェアについてもまたの機会に詳述するとしますが、
商圏内において26%獲得していれば地域一番園と言えます。

ふたつ目は教育の中身を伝える子育て支援事業です。
子育て支援拠点事業や令和8年度から本格実施予定の
こども誰でも通園制度の慣らし期間のようなイメージで
自園を活用することで知ってもらうPFが
仕組化されていることがとても重要になってきます。
これは、8月27日配信のメルマガでも紹介した
「タイミー」の活用とよく似ていて、
入園(入社)を決定する過程において「体験」のフェイズは
重要なウェイトを占める時代になったということです。

どんな状況でも打開策は必ずあるものです。
まずは地域一番園を目指し、
地域一番園であることを嫌味なくガンガンPRしていきましょう。