DIARY

【処遇改善等加算の”本質”を 図(イメージ)で理解して積極的に運用する】

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処遇改善等加算の”本質”を
図(イメージ)で理解して積極的に運用する
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<本文のポイント>
・イメージで本質をとらえ自らに落とし込む
・そして、活用する!

<本文>
いま、英文法の基本を勉強しなおしています。
ある目的のために、ぼんやり理解している部分を、
きちんと理解するために始めたのですが、
「覚えるための学び」と「実用のための学び」は
本質的に違うということを肌で感じているところです。

初めに学習する骨組みで、
I live in Tokyo.(私は東京に住んでいます)
He plays guiter.(彼はギターを弾きます)
といった類の「現在形」なのですが、
この本質が理解できていませんでした。

I live in Tokyo.の場合、
東京に住んでいるのは何も現在だけの話ではありません。
「今(現在)」東京に住んでいる人は、
大抵の場合、「昨日(過去)」も「明日(未来)」も
東京に住んでいるのでこの表現は過去にも未来にも影響が及びます。
He plays guiter.も同様で、
彼は、昨日も、今日も、明日も、ギターを弾きます。

そこで、英語の現在形について調べてみると、
「事実」と「習慣(常態的に起こること)」でイメージできるものを
現在形で表現することがわかり、霧が晴れました。

現在形の本質は「事実」と「習慣」に対する
言及で用いるものだとわかると、一気に迷いはなくなります。

~へ行くを意味するgoや~から来るの意を持つcomeという動詞も、
「go=行く」「come=来る」とだけ訳すと実用面では機能しないことがしばしばあります。

「go」の本質は、
今いる地点からある地点へ向かって進むイメージであり、
「come」の本質は、
ある地点から中心に向かって進むイメージにあります。

この”イメージ”を活用するとこれら英文はこう展開できます。

The conference is going well so far.(今のところ会議は順調に進んでいる)
=(マイナス地点から始まり目標地点の途中にある)会議は順調に進んでいる
My dream has come true.(夢は実現した)
=(ずっと欲しかったモノを自分の方に引き寄せることができて)夢は実現した

より実用的なツールとして英語を身に着けようとしたときに、
和訳ありきではなく、言葉や文章の核を”イメージ”で捉えること
実に有効だと言うことをいまさらながら実感しているところです。

子ども子育て制度についても同じことが言えます。
この制度は極めて難解なところが多く、
自治体ごとに解釈の違いが生じたり、
自治体が定める独自ルールの設定などもあるなどから、
共通の理解がはかりにくい部分もあったりしますが、
英語と一緒で、核となる部分をイメージで捉えることができれば、
自分のペースで運用することができます。

昨年もとても多くのご要望をいただきました
処遇改善等加算の計算方法(自園のそれはいくらなのか?)と運用方法については、
今年は昨年以上にご要望をいただきました。
これも、冒頭に紹介した英語の本質や核と一緒で、
中心にある、本質や核を捉えることができれば、
そんなに迷わず運用できるのではないかと思います。

まず、処遇改善等加算の性質をとらえましょう。
子ども子育て支援新制度(現在の子ども子育て支援制度)が開始した
平成27年時点では処遇改善等加算Ⅰは既に存在しました。
「保育士等の給与が他業界平均比して低い」
という課題を改善するためのベースを上げる「処遇改善」の目的です。

イメージとしてはこんな感じです。

(図1:処遇改善加算Ⅰイメージ)

いかがでしょう?
処遇改善加算Ⅰによって全職員の給与額は以前より増えましたが、
もうひとつの課題である、「離職率の改善」には至りません。
改めて上の図を見てもらうとキャリアアップのステップが極めて限定的なのが目立ちます。
そもそも施設当たりの職員数に限りがあり、一般と主任の間に階層がないので、
職位が一般にある職員がキャリアパスを描きにくいという課題がありました。

平成29年にこの課題を補ったのが処遇改善加算Ⅱで、イメージはこうです。

(図2:処遇改善加算Ⅱイメージ)

職務分野別リーダーはおおむね3年目※から、
中核・専門リーダーはおおむね5年目※から担えるようになり、
一般と主幹教諭の間にいくつかのステップを設け、
若手職員が自身のキャリアパスを描きやすくなりました。
※それぞれ研修修了要件が設定されています。

コロナ禍の令和3年には、それまでプラス改定を続けてきた
人事院勧告分がマイナス改定となりました。
これを補う形で処遇改善加算Ⅲが誕生し、イメージはこうです。

(図3:処遇改善加算Ⅲイメージ)

処遇改善加算Ⅰ同様に対象の制限はほとんどなく、
Ⅰ同様ベースアップに活用されることが見込まれています。

さて、このようにイメージでとらえると、
どのように配分をすればいいかがぼんやりと見えてきませんか?

ちなみに今の園児数と職員数で公定価格収入を計算する際に、
1)処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲをすべて外したバージョン
2)処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲを適切にカウントして計算したバージョン
の2つを作成することで処遇改善等加算額が掴めます。
金額が掴めれば、制度上決められたルールに則って
対象者と配分ルールを決めればいいので、
①人件費支出②人件費以外の経費支出③繰越金支出の割合を決めて
自園の経営方針に沿った給与配分計画をつくることができます。

就学前教育保育業界に限らずですが、
終身雇用を前提としない社会における給与配分計画は、
前時代と同じでは人材育成に活用することはできません。
せっかく処遇改善に活用できる潤沢な加算があるので、
これを活用して、良い人材を採用、育成できるようにしたいものです。

時間軸(経験年数に応じた昇給)<役割軸(担う役割に応じた昇給)

このようにすることで、より現場は活性化していきます。
賃金テーブルを見直す場合、
軸の設定と昇給幅の検討をしてみて下さい。