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【 Untargetingへ 】

先週のメルマガでは
「ターゲティングの弊害」について
成熟社会の特徴と共に解説しました。
 
おさらいしますと、
・多様性への理解と共存・共生・共栄
・人口減少による対象者の減少
この2点が成熟社会日本における専らのテーマです。
さらに、園児募集においては、
共働き家庭へのアプローチと低年齢化が進んでいて、
1号認定児のみにターゲットを絞りこむことで
結果的に自園の支持者が減少してしまうという
現象が起こっています。
 
そこで、”アン”ターゲティング=絞り込まないこと
の重要性の考察についてお送りいたします。
 
 
これは、昨日のセミナーで使用したテキストの一部です。
 
 
西日本のある地域の1号、2号、3号認定の需要と供給の
量を過去4年の実績と向こう3年の予測で出しているものです。
需要は1号(新2号含む)はどのエリアもです。
2号、3号は令和6年まで増加しています。
しかし、2号の供給は既に需要を超えていて定員割れが起こっています。
つまり、今後定員数を増やせるのは3号のみということです。
 
少し前のデータで恐縮ですが、
就学前施設(幼稚園、保育所、認定こども園)の
2020年の就園率は以下のとおりです。
 
・幼稚園(幼稚園型認定こども園含む):42%
・保育所(保育所型認定こども園含む):40%
・認定こども園(幼保連携型に限る) :16%
 
80年後半から90年前半にかけて
幼稚園の就園率は70%超だったことを考えると、
30年余りで30%程度の児童が
幼稚園から他施設へ就園することになりました。
 
このような推移の最たる要因は、
少子化と生産年齢人口(15~65歳)女性の
就労率の上昇によるところが大きいです。
 
女性の育児休暇取得平均が16.3カ月(平成29年)とすると、
産後子どもが1歳児で保育所に入園するまで育児休暇を取得して
仕事に復帰すると推定できます。
待機児童の多いエリアだとさらに1年育児休暇を延長し
2歳児で保育所に入園するというケースもあります。
 
勿論幼稚園でも、預かりや給食などを強化し
保育所に引けを取らない受け入れ態勢を整備し
夫婦ともに就労する家庭等の児童の受入れを
積極的に行っている園もたくさんありますが、
低年齢化の受入れは、施設整備が伴いますので、
どうしてもハードルが高くなります。
 
結果として、低年齢児の受入れは
保育所や認定こども園が担い就園率が分散したのです。
 
社会の流れを即したこの多様化を時流といいますが、
時流に適した経営の発展を考えると
認定こども園化や幼稚園型一時預かり事業などを活用して
幼稚園でも低年齢児の受入れは実現していくことが望ましいです。
ただし、これまで培ってきた教育の軸がぶれてしまうと、
たちまち大衆化の波にのまれてしまいます。
 
 
こちらは、早稲田大学教育学部の広告です。
 
 
教育学部=将来教師を目指す人のための学部
というイメージが強い教育学部ですが、
教師を目指さない人が進学しても学べる学問ですよ~
と、ターゲットの拡張を目的としています。
 
 
次いで、神戸女学院大学の広告です。
 
 
女子=高校3年生からハイティーンの女子という
極めて限定的な対象から、
女性=もうすでに社会人になっている方や主婦層など、
リカレント教育※も含めた女性全般へと対象を拡張し
入学性の確保を目的としています。
(※社会人になった後も必要なタイミングで教育機関や
 社会人向け講座に戻り、学び直すことを指します)
 
大学進学率が50%超の日本では、
大学教育が「大衆化」してしまい、
企業の採用情報でも4年制大学卒というのが
スクリーニング※機能を果たさないと言われます。
 
※ふるいにかけ選別すること
 
大衆化とは即ち、希少性が低くなることを指します。
だれでも、いつでも手に入れられる状態ならば、
取り立てて努力する必要はなくなります。
 
この状態から脱却しなければ、
幼稚園における園児募集は厳しさを増すばかりです。
先に紹介した2つの大学の広告例は
認知度を上げるという点ではプラスに働きそうです。
ここからHPやInstagramなどのメディアに誘導し、
価値をしっかりと提案することで、
どれだけ人々に動いてもらうかというのが課題になります。
 
 
幼稚園でも全く同じことが言えます。
商圏内の存在認知をとにかく高めた上で価値認知を高める。
 
内容は教育を軸に相手がなるほど!と膝を打つような、
あるいは、共感が集まるような等身大の情報発信が大切です。
 
共感が集まる参考例として、
栃木県佐野市の認定こども園洗心幼稚園のHPをご紹介いたします
園長の佐野先生が自園の考える幼児教育を丁寧に発信しています。
 
勿論、同じである必要はありません。
あくまで、自分の考えを発信するとしたら…の一考察として
お役に立てていただければ幸いです。
 
 
商圏調査と保護者のニーズ調査は今後一層重要性を増します。
是非、自園がどこの誰に何で求められているのかを知り、
今後の募集戦略を綿密に立ててください!