DIARY

【 保育所の定員割れと今後の動き 】

【 多機能化の背景 】Posted by Hayashi

 

内閣府の子ども子育て会議のテーマは、
「保育需要への対応」から、
「保育の質と定員割れする施設について」
大きく変化してきました。
 
令和3年4月1日の段階で発表があった、
保育機能がある各施設形態の充足率の推移は
以下のようになっています。
 
・保育所等
平成31年 93.2%
令和2年 92.6%
令和3年 91.3%
 
・幼稚園型認定こども園
平成31年 91.0%
令和2年 96.0%
令和3年 93.4%
 
・地域型保育事業
平成31年 82.7%
令和2年 82.2%
令和3年 78.5%
 
 
幼稚園型認定こども園は令和2年に充足率を上げていますが、
それもわずか1年であり、令和3年には減少傾向に転じています。
 
特に充足率が低いのが地域型保育事業です。
 
地域型保育事業のメインは小規模保育事業ですが、
小規模保育事業がかなり苦戦しているということが分かります。
 
小規模保育事業は0歳から2歳を対象とし、
19名以下で運営するということになりますので、
充足率が80%を切るということになりますと、
約15名程度の園児がいるということになります。
 
小規模保育事業は規模が小さく低年齢を対象としますので、
人員配置を手厚くする必要があるほか、
基本的に自園での給食も必要になりますので、
15名前後という形では経営はかなり苦しくなります。
 
また小規模保育事業の場合は行政からすると
年度途中で発生する可能性がある
0歳児の受け入れなどを考慮して、
定員変更を受け入れてもらえないということも多く発生しています
 
その結果園児一人当たりの補助単価も上がらず、
経営が苦しくなる施設が増えているようです。
 
小規模保育事業に限らず、
認可保育所でも認定こども園でも、
充足率の低下が目立つようになり、
国としても空いたスペースをどのように活かしていくのか
というところが重要なテーマになっています。
 
このような中で、今議論が上がっていることは、
以下のようなものです。
 
 
・施設の空き部分で子育て支援などを強化
保育所の空き部分を活用し、子育て支援を強化し、
地域子育て支援センターの役割を担っていく、
という議論が盛んになっています。
保育所には保育士がいるため、専門性を活かして、
子育て支援が出来るのではないかということが
今回の話の基盤になっているようですが、
幼稚園でも昔から未就園児教室や
子育てひろばなどを行ってきました。
幼稚園の取り組みについては
今のところ触れられていないのが残念です。
 
保育所が子育て支援を強化していくと、
未就園児教室や子育てひろばの競合が増えることが考えられます。
 
入園前の教室についても様々な工夫が必要になっていきます。
 
 
・東京都の認証保育所で学童保育
最近の子ども子育て会議では、
学童保育について話題に上がることが増えました。
 
保育施設を増やした一方で、
学童保育の待機児童が増え、
足りないという状況が起こっています。
 
そういったことを背景に、
東京都では認証保育所の空き施設を活用し、学童保育を行う
ということに対して予算をつけています。
 
学童保育に限らず、幼保小の連携についても、
子ども子育て会議の中でも注目されており、
先進的な取り組み事例に対して補助金を用意する
という方向性の話も上がっています。
 
 
・その他の空きスペース活用
そのほかにも病児保育についてや、こども食堂についてなど、
保育所を多機能化させ、空きスペースを有効に活用していこう
という方向性で話が進んでいます。
 
 
様々な内容が挙がる一方で、
子ども子育て会議のメンバーに入っている、
経団連の委員からは施設の存続を前提にするのではなく、
量的な縮小も含めて検討するべきだという意見も出ています。
 
 
いずれにしても需要と供給のバランスは崩れ、
供給過多の状態になっていることは間違いありません。
 
共働き世帯の対象人口についても
まもなく減少傾向になると予想されています。
 
子ども子育て会議の中では、
専業主婦世帯であっても小規模保育所を
利用できるようにしていくことはできないのか、
という議論まで挙がっています。
 
今後、供給過多になった保育所は多機能化を進めていくと予想されます。
 
 
自園の置かれている状況や地域性、
そして自園の教育をベースに、
必要性に応じて適度な多機能化が
求められる時代になってきています。
 
現状は保育所での話が中心になっていますが、
幼稚園についても子育て支援についての加算など、
今後強化されていく可能性がありますので、
国の動きにも注目していきましょう。