連日猛暑が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか?
今年は例年より2週間から20日ほど梅雨明けが早かったそうです 。
「異常気象」と言われてずいぶん経ちますが、
これまでの異常はこれからの通常になるのではないか?と
感じるほど”異常”が”通常”と化してきているように思います。
先週お送りしたメルマガでお伝えしているように、
この40年余りで人々の価値観が変わっているのが分かります。
結婚件数は約20万件減少し離婚件数は約5万件増加、
そして、共働き世帯は約500万世帯増加しています。
これだけ見ても、幼稚園がメインターゲットとしてきた
3歳から5歳の子どもたちの教育標準時間内の需要が低減し、
子どもを集めることが難しくなっているのが分かります。
これまでの異常がこれからの通常になる、と想定した場合、
コロナのように未知のウィルスの遭遇は一過的騒動ではなく、
継続的に「未知との遭遇が起こる」という前提に立って
準備を進めていく必要がありそうです。
建築工事を経験している方はわかると思いますが、
建築単価は、2008年のリーマンショックで上昇し、
翌年一時的に以前の水準に戻って以降継続的に上昇しています。
2010年に千葉市内で保育施設を新築で建設した際に、
80万円/坪で計画を立てましたが、今同様の計画は、
120万~130万/坪で計画することになります。
これほどの短期間で1. 5倍も値上がりするとは思いもよりませんでした。
3.11、オリンピック需要、団塊世代の現役引退、
コロナ、ウッドショック、ウクライナ情勢・・・
これが終わったら建築単価は下がるはずだ!
と、考える人は少なくなかったと思います。
園児募集においても同様のことが言えます。
3歳で入園する時代のトレンド”は終焉しました。
「ポスト待機児童時代」に突入し、
認可保育所の定員充足率は90%、
小規模のそれは80%まで下がっています。
今後はすべての園であまねく園児数が減少していくのかというと
そんなことはなく、2極化が進行していくと考えられます。
実際、東京23区内のある自治体では、
定員充足率100%を達成している事業所が私立幼稚園は8%、
認可保育園(小規模含む)で9%にとどまります。
今後この傾向は激化し、
集まる園と集まらない園の2極化がより進行すると思われます。
このような環境下、
入園対象家族とどうつながるか?を考え、
支持を集めるために何をするか?を早急に検討する必要があります 。
差別化の8要素というものがあります。
1.立地(商圏人口・通いやすさ)
2.規模(施設、園庭含む環境)
3.ロイヤリティ(ブランド・歴史)
4.商品力(コンテンツ、教職員)
5.販促力(存在認知と価値認知)
6.接客力(オンラインでの分かり易さ)
7.価格力(価値/価格の分かり易さ)
8.固定客化力(ファンづくり)
1~8の順番で重要度が示され、
1~3は戦略的差別化(変更が難しい)領域、
4~8を戦術的差別化(変更が易しい)領域と言われます。
幼保一体化が進んだ今の時代、
幼稚園の競合施設は幼児教育、保育施設全般になります。
園探しの第一歩は当然ながらインターネットですので、
4~8の戦術的差別化で工夫を凝らせば勝算は見えてきます。
先ほど触れた通り3歳児入園は見込めないので、
0,1歳児の名簿獲得と居場所づくりに力を入れて、
満3歳児(4年保育)入園を強化するための戦術を展開します。
1歳児の名簿数が園児募集のカギを握ります。
募集の考え方としては、下図のとおりです。
3~5歳の定員を寸胴型に設定し、
満3歳児を可能なら年少定員の50%受け入れます。
無償化と月齢がポイントとなりますので、
生まれ月が年度の後半(11月以降が目安)の場合、
満3歳児入園を躊躇される方が多いです。
そのため、3歳入園のための未就園児クラスを
残りの50%+αで定員を設定しておきましょう。
※上記は目安ですのであくまで各園の施設状況や
職員のゆとりとバランスを見て決定してください。
で、最も重要となってくるのが0~1歳の集客です。
これはカテゴリサイト(専用サイト)を作成して、
誰のための、どんな場所で、なにをして、 どんな喜びが生まれるのか?
参加するにはどうすればいいか?初めての人に不安はないか?
あくまで相手の立場に立った情報発信が重要ですので、
このあたりを整理して作成すると魅力的なサイトになります。
そしてインターネット広告を運用して地域に広く告知します。
宇都宮市の認定こども園まこと幼稚園が運営する
0~1才児向け「はぐかふぇ」のカテゴリサイトです。
月ごとにカレンダーを更新し、
プチイベントと母子の居場所を提供しています。
保護者の「(話を)きいてほしい」と「自己有用感」という
ニーズを満たす広場の運営で人気を博しています。
幼稚園との連携も上手にしていて、
満3歳での入園意欲が高まる工夫が施されており、
先ほど示した図に沿った募集を実現しています。
テクノロジーの発展は、人口減少のその先の未知への
戦術的対処を可能としてくれています。
できるところからスピーディに整えて未知への対処をしていきまし ょう。