8月30日に厚生労働省から、令和4年度4月1日の
「保育所等関連状況取りまとめ」が発表されました。
この調査によると、待機児童数は
令和3年度5,634人から令和4年度2, 944人に減少しています。
最近のニュースではこの結果から待機児童の数が減り、
待機児童の解消まであと少しということで、報道されています。
しかし、注目しなければならないところは、
この待機児童の数だけではありません。
実際にこの調査をよく確認していくと、
以下のようなことがわかります。
増加しているものと減少しているものを
分けて記載させていただきます。
(カッコの中は令和2年度→令和3年度→令和4年度の数字です)
<増加>
・保育所の数(37,652か所→38,666か所→39, 244か所)
・保育所の利用定員(2,967,328人→3,016, 918人→3,044,399人)
・保育利用率(47.7%→49.4%→50.9%)
・1、2歳児の保育利用率(50.4%→53.7%→56.0% )
<減少>
・利用児童数(2,737,359人→2,742,071人→ 2,729,899人)
・定員充足率(92.2%→90.9%→89.7%)
上記内容をまとめると以下のようになります。
・保育の枠は今も増加している
・保育の利用率は増加し、特に1、 2歳児の利用率は大きく増加している
・保育の利用者数、保育所の定員充足率は低下している
ちなみに、保育所の利用率については、
2015年の子ども子育て支援新制度開始時の利用率を見ると、
とても大きく増加していることがわかります。
平成27年度保育利用率→37.9%
平成27年度1、2歳児の保育利用率→38.1%
特に大きく増加しているのは1、2歳児の保育利用率であり、
子ども子育て支援新制度開始前よりも、
約20%も増加していることがわかります。
全体の保育利用率は1、2歳児の保育利用率よりも、
遅れて増加する傾向にありますので、
今後も全体の保育利用率は間違いなく上がっていきます。
幼稚園の視点からこの状況を捉えると、
幼稚園の園児募集の対象人口は大幅に減少している
ということになります。
また、最近の傾向として多くなってきているのは、
2歳以上の認定こども園に移行をしている園が、
定員割れを起こすというものです。
もともと共働きの方が、 2年間育休を取るということがまれであるため、
3号認定の2歳児は希望者が少ない傾向にありました。
その結果、3号認定2歳児や、2号認定に空きが出る
というケースはありました。
今までであればこのケースでも、 子どもがまだ小さいうちは働かない
という選択をされていた保護者層が、
1号認定を選択して入園するというケースが多くありましたので、
その方々が年少時点では1号認定で入園し、
その後、学年が上がることでお仕事に復帰され、
2号認定が徐々に増えていくという流れがあり、
これによって定員が埋まっていく傾向がありました。
しかし、このケースも少子化と、 低年齢での保育の利用率の増加により、
対象者が少なくなってきています。
幼稚園でも保育所でも認定こども園でも、
定員割れが深刻化してきています。
このような状況の中で、
子ども子育て会議の中で話し合われている内容が、
保育の質の向上と、保育所の多機能化です。
以前にもこのメルマガの中で取り上げさせていただきましたが、
例えば以下のような内容です。
・保育士のさらなる処遇改善
・4、5歳児の人員配置の見直し
・保育認定に関わらず保育所を利用できる仕組みづくり
・週1回や週2回などの利用ができる一時預かり事業の強化
・保育所と児童発達支援センターの併設
などです。
保育所は地域のかかりつけ相談機関になる
ということが一つのコンセプトになっており、
ポスト待機児童時代に向けて、様々な議論がされています。
2015年から開始された子ども子育て支援新制度の動きは、
この10年で待機児童解消という目的が終了します。
そしてすでに新しい時代に向けて、
様々な議論がされているのです。
この新時代に幼稚園がどうあるべきかを
改めて考えていく必要があります。
新制度開始から約10年になります。
新しい時代に向けて改めて園の方向性を検討する時期に入っている ように思います。