DIARY

【 多様性に対応した受入体制を構築する 】

<本文のポイント>
 
1.多様性受入のポイントは「相互理解」のためのルール設定にある
 
2.自園のブランド指数によって取るべき戦略が変わってくる
 
3.重要なのは「やり方<あり方」で、在り方を軸に”ストーリー”で伝える
 
 
—<本文>—-
 
全国多くの自治体で園児募集(願書配布・提出)の
時期に差し掛かってきているかと思います。
 
募集の低年齢化や保育認定児の受入れ等により
随分と多様化してきているため、
秋口の願書配布・提出というスタンダードにも変化が現れています。
 
昨年度の新生児数は81万人と過去最低を大きく更新したことから
園児募集におけるターゲティング(絞り込み)は対象を狭めることとなり、
結果的に募集目標未達などのマイナスを生む要因をはらんでいます
これについては、1月26日配信のメルマガで解説した通りです。
 
多くの場合幼稚園の園児募集は、
①共働き世帯の受入れ
②満3歳児の受入れ
この2点が肝になっています。
 
さて、共働き世帯について、
先日GCLIPが主催するNo.2実践会という勉強会で
参加者の先生方には既にお伝えした内容ですが、
共働き世帯は昭和60年以降右肩上がりに増加し続け、
令和3年時点でおよそ2倍になっていいます。
ところがその内訳をみますと、
妻がフルタイムで働く共働き世帯の数はこの40年間で
25万世帯増とほとんど変化はなく、
増加しているのは、妻が週35時間未満で働くパートタイム世帯
ということが分かります。
 
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これに対し、幼稚園で取りえる施策は、
8時間受入れの標準化(もちろん環境整備のための価格設定は必要です)と
預かり延長へ対応できる人員含む物理的環境の整備となります。
 
次に、満3歳児の受入れですが、
2019年10月の無償化開始によりこれは一気に加速しました。
ところが、多くの幼稚園が3歳未満児の受入れ実施をしているにもかかわらず
その認知度は無償化前と比較してもさほど広がっていないように感じます。
 
ある園でアンケートを実施した際に、
満3歳児で幼稚園に入園できることを知っていると回答したのは
20%未満にとどまったといいます。
 
サンプル数が少ないので、これを標準化することは出来ませんが、
「自分たちが思っているほど周りは自園の事を知らない」
という前提に立って広報活動に力を入れていくべきだと思います。
 
 
因みに、GCLIPで採れているデータでみますと、
満3歳児入園説明会の広報(ランディングページ+SNS広告運用)による
新規(弟妹や未就園児クラス等に所属していない人)獲得は、
平均で35%にも上ります。
満3歳の説明会参加者数は凡そ年少の募集定員の半数という園が多いので、
仮に年少80名募集なら40名参加したら14名が新規ですから、
効果的な広報活動をすればそれだけ新規に出会える確率は上がります。
 
 
さて、ここまで多様性を受け入れるという視点で、
①共働き世帯の受入れ②満3歳児の受入れについて
そのやり方をざっくりと説明してきました。
 
多様性を受け入れる上で最も重要なのはやはり「あり方」ですよね
①、②の多様性をどこまで受入れるか決定するのは園側で、
自園の在り方(≒こだわり)を保護者に丁寧に説明(認知され)し、
双方の合意をもって受入れる事が多様性の第一歩だと思います。
 
冒頭、ターゲティングが目標達成の弊害になる可能性について触れました
しかし、商圏内の自園の人気度で採るべきポジションは変わってきます。
人気度はGCLIPが提唱している「ブランド指数」で測ることができます。
 
ブランド指数(%)=園児募集実績/(募集商圏の1学年人口/園数(幼保認こ園))
 
ブランド指数(2017.12.12配信のメルマガ参照)の細かい説明は省きますが、
園児募集目標が達成されていて
この指数が200%以上であれば圧倒的なブランド園ですし、
150%~199%であれば、対象人口が少ない中で人気を博している園となり、
100%~149%なら、適正商圏の中で募集を成功させている園となります。
 
つまり、自園のブランド指数に応じてとるべき戦略は変わってくるのです。
圧倒的なブランド園であれば、自園の教育をしっかり説明したうえで、
そこへの賛同、協力をもって相手を受け入れるということが重要でしょうし、
もし、100%に満たないのであれば、
需要を伸ばすためにまずは数を追う選択が重要になることもあるはずです。
 
つまり、多様性の受入れに際し、
自園はどこまで(家庭が求める開園時間、年齢等を)受入れられるのか?
これを決めて、満3歳児の受入れを活性化していく事が大事です。
 
この在り方が決まれば、それを軸に自園の受入れストーリーを展開し、
対象商圏に徹底的に告知していくだけで反応は必ずとれます。
但し、ここに売り込みの要素が微塵でも感じられれば、
反応をとることはほとんどできないのでご注意ください。