DIARY

【自園の教育的価値を強みとして活かす時代の幕開け】

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自園の教育的価値を
強みとして活かす時代の幕開け
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<本文のポイント>
・幼稚園の先生に教えてもらった息子のいいところ
・成熟社会に蔓延るヘドニック・トレッドミル現象
・利便性偏差値オール50社会の次の一手
・徹底的に相手に寄り添い、課題を解決する姿勢しか評価されない
 
 
 
<本文>
 
「きょう おねえちゃんがね、 
 あさ おべんきょうやだって なかなかったんだよ~」
 
先日の休み明け、息子(3歳)が登園するや否や
預かりの先生に向かってこんな話を始めるのです。
 
日課の算数の学習で単位dL(デシリットル)に
苦戦する姉の姿を滑稽に感じているのか…、
毎朝のデジタル学習中に涙する姉の姿を思い浮かべながら
先生にこう報告する姿を見て、悪気は無いのだろうけど、
言わなくていいこと言ってるなぁ…などと私は思ったので、
ある幼稚園の園長先生と主任の先生に
息子のこのエピソードを共有しました。
 
すると、先生方はそろってこう教えてくれました。
 
「設楽さん、ぜん君(←息子)は、お姉ちゃんが大好きなんですよ。
 その大好きなお姉ちゃんが、毎朝泣いてる姿を見るのが悲しかったんです。
 で、泣いていないその姿をみてとても嬉しかったんですよ。
 だから、単純にぜん君の中で嬉しかったこととして
 大好きな先生にその話を共有したかったんだと思いますよ。」
 
と、教えてくれました。
 
これが親にとっては本当に目から鱗の情報でして…
息子が姉をちょっとイジるような感じで、
毎朝の勉強に涙していることを先生に教えちゃおうかな~
みたいな感覚だと思っていたのですが、
先生方の解説によって私のこの考えは一瞬で矯正され、
息子の行動をとても誇らしく思いました。
 
 
さて、何が言いたいかと言いますと、
先生というプロフェッショナルには力があるということです。
ここにしっかりと目を向けて自園の魅力を
再構築し発信するタイミングに差し掛かりました。
 
 
現在の就学前教育・保育政策の中で
幼稚園だけが少し蚊帳の外に置かれている感じが否めません。
幼稚園は預かり体制や給食提供など利便的機能という点において、
保育所や認定こども園と比較するとどうしても劣ってしまいます。
そこで、この利便的機能部分の足並みをそろえて、
先ずは現代の子育て世帯が持つニーズを包み込んだ
受入体制の整備が重要です。
 
 
本メルマガの昨年11月28日号で解説している通り、
募集商圏内にある競合他園と比較した際に
自園の「利便性偏差値」が50以上であれば、
集まりやすい傾向にありますが、
大都市の一部を除いては商圏内全ての園で
この「利便性偏差値」が50という地域が増えています。
つまり「違いが見えにくい状態」ということです。
 
 
ヘドニック・トレッドミル(快楽順応)という現象があります。
これは、収入の増加とともに人の幸福感も増大するが、
期待や大志も比例して大きくなるため、結局幸福感は維持されない
人間の心理傾向から起こる現象を指した言葉です。
これが成熟社会ではあらゆる局面で起こっていて、
就学前教育・保育施設を利用する保護者にも同じことが言えます。
 
 
2019年10月に3歳以降の幼児教育・保育の無償化が実現しました。
いま、この無償化を「ありがたい」と感じている人は存在するでしょうか?
仮に心の中では「ありがたい」と思っていても、
口に出す人はいないか、いても極僅かではないかと思います。
 
職員の間でも同様のことは起こっていると思います。
新制度園は特に、処遇改善加算の影響で移行前と比較して
職員の収入が増加していると思いますが、
これも目に見えて増えたその瞬間を除けば”順応”し、
収入増加による幸福感は持続されていないと思います。
 
これらは豊かな社会ではどこでも起こり得る現象なので、
一概に保護者や職員の意識の問題と断ずることは難しいです。
 
 
少し話が逸れたので戻しましょう。
施設の利便性が上がっても利用する側はまた慣れていきます。
つまり、当たり前のレベルが上がるのです。
コンビニエンスストアに見られるように、
顧客の当たり前に合わせるとトイレに始まり、駐車場の整備、
最近では、イートインコーナーに喫煙室の設置まで、
顧客を獲得するための差別化を本業の強化ではなく、
設備投資によるサービスの強化によって実現しているのです。
コンビニエンスストアという名の通り、
顧客にとっての便益強化は重要なファクトであることに疑う余地はありませんが、
小売本来の商品価値向上による差別化ではなく、
設備投資でしか差別化が図れないところまで成熟化が進んでいるです。
 
そんな中、商品の仕入れ、値付け、陳列、接客で
差別化を図るセブン-イレブン三鷹上連雀店はひときわ目立ちます
お店の店員さんが近所の子育て世帯が楽しく買い物できるように
お菓子を中心に商品陳列とポップにエンタメ性を持たせ、
買物が楽しくなるような工夫と仕掛けを凝らしています。
お近くの方は参考になるので是非足を運んでみて下さい。
 
コンビニエンスストアはセブンイレブンに限らず、
いつ、どの店舗に行っても同一商品、同一陳列で
分かり易く、高品質の商品を提供していることがウリですので
店舗間の差別化が図りにくい業態でもあります。
セブン-イレブン 三鷹上連雀店のように、
自分達の商売の哲学と言うか、志向性をカタチにすることで、
差別化が難しいと言われる業態でも、
果敢にチャレンジし実現する事が可能となります。
 
さて、再度話を戻しましょう。
幼稚園における差別化要素は何でしょう?
さらに突っ込んで、自園の差別化要素とは一体何でしょうか?
利便性偏差値は間も無く全国一律で50になるでしょう。
すると、これまで保育所とか認定こども園であることが
アドバンテージだった時代は過去のものとなります。
冒頭で紹介したエピソードはヘドニック・トレッドミル状態にある
現代社会の就学前教育・保育施設への認識を変えるきっかけとなります。
 
セブン-イレブン 三鷹上連雀店もそうですし、
冒頭のエピソードもそうですが、‟サービス”の本質は、
「徹底的に相手に寄り添って、目の前の課題をともに解決する」

という姿勢、言い換えると心の在り方に宿ります。

 
自分達の環境の、教育の、職員の、存在理念の、
それぞれの強み(価値)と再度向き合ってみてください。
「非代替価値(唯一無二の価値)」が、そこにはあるはずです。
それを丁寧に抽出して、カタチを整え見えるようにして、
相手に届くチャネル(媒体)を活用して、発信してください。
 
 
こども誰でも通園制度の本格開始等により、
行政主導の”最後のサービス”が始まろうとしている
今こそ、しかける時期です。
これらサービスをしっかり包み込んで、
自園の強みを明確化してこの局面を乗り越えていきましょう!