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収穫逓増の法則で人材育成に注力する
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<本文のポイント>
・拡大/成長には収穫逓減の法則が伴う
・収穫‶逓増”の法則に載せるために新人の内に社会人の基本をインストールする
・園内研修を実施する際には決まり事の理由や背景を丁寧に説明する
<本文>
「収穫逓減の法則」という経済学の用語があります。
これは、投資(労働人員、時間、その仕事に必要な備品など)を
増やせば増やすほどリターンは増えるが、
単位投資当たりの売り上げは減ってしまうという法則です。
この法則はGCLIPにも例外なく当てはまります。
コンサルタントを増やし必要とされる情報・技術の供給量を増やせば
理論上リターンとしての収益は増加します。
しかし、投下した人員に比例して収益が増えるわけではありません。
人員増と収益増の間には複数の条件変更が発生するため、
コンサルタントを増やしても増収幅は大きくなりません。
特にコンサルティング技術は初期段階に洗練された研修を受講しても、
現場にでればお客様ごとに異なる課題解決力が求められるため、
均質のコンサルティングを提供することが難しく、
人員増加に比例した収益の増加はおおよそ見込めません。
収穫逓減の法則とはこのように、
収穫増を目指して農地面積を増やしても、増えた面積分は同条件の収穫に至らず、
単位投資分の収穫が減るという法則です。
「収穫逓増の法則」とは一方で、
システム販売や不動産のように初期投資回収以降は
一貫して収入の大部分が利益になり続ける法則を指します。
ビジネス構築の初期段階で再現性の高い仕組みと、
精度の高い初期投資の回収計画をつくることで
収穫逓増の法則にのっとったモデルが出来上がります。
人材育成においてもこれと同じようなことが起こります。
新人の研修効果に比べ、ベテランの研修効果は相対的に低くなります。
仕事の知識も技術も真っ新な状態の新人と
既に経験を積んで知識も技術もある程度持っている経験者とでは
「伸びしろ」に圧倒的な差がありますので、
新人の研修効果が高いのは当然と言えば当然です。
そこでメルマガ読者の皆さんには、
是非「収穫逓増」となる育成を心がけていただきたいと思います。
はじめに自園の基幹となる価値観を共有することが重要です。
その際に、歴史や沿革の背景にある理由を伝えてほしいのです。
自園は子どもたちやその家族に何を期待されているのか?
●●年に取り入れた活動の理由、△△年に設置した遊具の導入背景も説明したり、
現経営者が先代から引き継いで大切にしているモノや考え方の共有。
未来に向けて今チャレンジしていること、これからチャレンジしていきたいこと、
それを実現するためにそれぞれの職員にどんな役割を担ってほしいのか?
このあたりを丁寧に伝え、認識を共有することで、
その人材が適切に成長していく可能性がぐっと高まります。
それからもう一点、人材育成において重要なのは、
「自立する」ということをきちんと教え導く事だと考えています。
理由は至ってシンプルで、
3月まで「お金を払って権利を行使する立場」だった学生が
4月からは「お金をもらって責任を果たす立場」に変わります。
個々の状況によって違いはあるでしょうが、
毎月10万円支払っていた立場から
毎月20万円受け取る立場になった人は、
30万円分ギャップのある世界を生きることになりますので、
自立した大人としてのイロハ(基本)を修得したいところです。
20万円稼ぐために一体どの程度の価値提供が必要なのか?
手取りで支給される金額と額面金額の違いって何だろう?
ひと口に「挨拶」というけど、「挨拶」はなぜするんだろう?
なぜ信用される人になる必要があるのか?
相手本位で生きるってどういうことなんだろう?
就職先の看板を背負って働くってどういうことなんだろう?
など、後からではなく入口で身に付けるべき基本をこのタイミングで
しっかりとインストールしておきましょう。
そうすることで、自立した大人になれるはずです。
自立とは、ルールを身に付けることで、
社会の一員としていかなる環境でも円滑に人と交わり
豊かに生きていくチカラを身にまとうことです。
「全体の8割は全体の構成要素の2割が生み出している」
というパレートの法則からもわかるように、
”今”のパフォーマンスの8割は初めに修得した2割によって生み出されます。
基本がとても大切だということに、疑う余地はありません。
さらに言えば、定着率の向上は新制度園では特に処遇改善加算Ⅰで
収穫逓増の法則が働き、その威力を発揮しますし、
私学助成園でも今のような売り手市場においては、
定着率の向上及び一般→リーダー→主任などグレードをあげながら
成長しつづける人材の輩出は結果として収穫逓増につながります。
※そのための戦略的給与テーブルの設定と活用については
また改めて記事にしたいと思います。
「収穫逓増」を目指した研修をGCLIPでも企画しています。
経営者の皆さんから直接伝えにくいことも多々あるかと思いますので、
よろしければ是非ごこちらもご活用ください。