DIARY

【これからの園児募集のポイント】

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これからの園児募集のポイント
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・出生率の発表は1.20という数字でこどもの数が大きく減少
・しかし、出生数のうち、出生順位の割合は変わらず、第一子が約50%
・1歳児、2歳児の保育利用率は約60%
・0歳児から2歳児の保育料無償化が進む
・0歳児の段階で圧倒的な認知度を持つ、作ることが重要

1か月ほど前にもご紹介させていただきましたが、
2023年の出生率が発表され、1.20という数字でした。
この出生率はとても面白いのですが
2015年の「こども子育て支援新制度」開始後に
減少傾向となっています。

実は2005年から2014年までは出生率は回復傾向であり、
1.45という数字まで増加していました。
しかし、2015年の新制度開始後、減少が進み、
ついに1.20という数字になってしまいました。

もはや待機児童対策=少子化対策にはならない
ということは明白なのではないかと思います。

ちょうど待機児童が大きく減少しているタイミングだからか、
またはこういったデータを冷静に分析してのものなのかわかりませんが、
今年度に入ってから保育の枠を拡大するための
「就学前教育・保育施設整備補助金」が約100億円の減額となっており、
第一回目の協議であっという間に予算上限に達し、
締め切ったという話が話題になっています。

こども家庭庁の見解としては
「この補助金は待機児童対策のための補助金である」
ということであり、今後の予算追加は未定ということです。

こどもの数は減り、待機児童が減少しています。

このような時代でぜひ行っておきたい園児募集策をご紹介します。

①0歳児での認知度を圧倒的にする
2022年の就業構造基本調査を分析すると、
5歳未満の末子を持つご家庭の世帯の種類の比率は、
専業主婦世帯 約30%、共働き世帯 約70%という割合になっています。
これが2010年では全くの逆で
専業主婦世帯が約70%、共働き世帯が約30%という割合でした。

しかも2022年では、共働き世帯のうち、
妻が正規の割合は約40%、非正規の割合は約30%という結果になっています。

要するに共働きがメインストリームであり、
特に多い世帯はフルタイムの共働きであるということです。

その結果、お子さんを早い段階でいずれかの施設に預け、
働くというケースがかなり増加しています。

最新のデータで1歳児、2歳児の保育の割合は57.8%となっています。

これは1歳児、2歳児の段階で約60%の子どもは
いずれかの園に入園しているということを示しています。

これから、さらに「こども誰でも通園制度」「0歳児から2歳児の保育料無償化」
などの流れが進んでいくことを予想すると、
さらにその利用率は高まる可能性があります。

そのため、今後の園児募集で重要なことは、
まず0歳児から1歳児の段階で自法人、自園の
認知度を圧倒的に高めていくということが重要です。

そのためには、例えば以下が有効です。
・0歳児の段階で自園に足を運ぶことができる場がある
・0歳児のお子さんを持つ世帯に届く媒体で自園の広報をしっかりと行う
・法人の事業領域を拡大し、地域での認知度を拡大する
・地域の企業や団体とコラボレーションをし、地域での認知度を高める

どうしても満3歳児から3歳児の募集に目が行きがちになりますが、
それ以上に0歳児との接点づくりと、地域に密着した取り組みを行っていくことが
将来の園児募集につながっていくと考えられます。

②保護者の皆様に、業界知識を高めてもらう活動をする
出生率1.20ということが注目されていますが、
人口動態調査にはそのほかにも様々なデータが掲載されています。
その中で、出生数に対する出生順位の割合というものがあります。
これは出生した72万人のうち、第一子、第二子、第三子以降の割合が
どの程度になっているのかを示しているものです。

1985年からのデータがまとまっていますが、
実はこの割合は昔も今も変わっていません。
最新の割合は
第一子 47%、第二子 37%、第三子 14%です。

このことから二つのことが言えます。
・一家庭で出生するこどもの数は大きく変わっていない
・保護者のうちおよそ半数は育児初心者である

特に二つ目の育児初心者であるということは
とても重要であると考えています。

現在は昔と異なり、幼稚園、認定こども園、保育所、小規模保育所・・・
など様々な施設形態を選択することができる環境です。

しかし、残念ながらそれぞれの特徴やメリット、デメリットを
把握している保護者の方はほとんどいないといえます。

そういった中で、働いていることを理由に、
選択の時間があまりないまま、園を選択してしまう
というご家庭は多いことが予想されます。

このような方々のために、0歳児から1歳児の段階で、
知識を深めていくイベントや企画を行うことで
納得感を持った状態で園を選択できるようになっていきます。

また、例えば1歳児や2歳児で異なる園に入ったとしても、
3歳児以降は幼稚園に入園がしたい選択肢に
つながっていく可能性もあります。

最近では共働き家庭だけではなく、
専業主婦家庭に対しても説明はとても大切だと感じています。

先日、ある園に
「認定こども園は共働きの家庭が優先的に入ることができると聞きました。
私は働いていませんが、入園の見込みはありますでしょうか?」
という内容のお問い合わせが入りました。

制度、施設形態ともに複雑化しています。
できる限り正確な情報を伝えていく必要があります。

ぜひ0歳児で園に足を運べる場をつくることと並行して、
業界の知識を深めていくイベントや企画を行うことを
検討していただければと思います。

先週の設楽のメルマガにもありましたが、
GCLIPでは地域一番化をテーマにしたセミナーを開催しました。

こどもの数が減少し、入園年齢が低年齢化しているからこそ、
地域での認知度や信用、信頼を高めていくことは
とても重要な視点になります。

そのためには地域の課題解決や、
地域への新しい価値を創出していくことも重要です。

まずは一度、地域の課題は何か、そして、
幼児教育、子育て、その周辺領域の中で、
地域に対して自園ができることは何かを考える機会を
つくることをお勧めいたします。