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「顧客体験価値」「従業員体験価値」を高める
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・「顧客体験価値」「従業員体験価値」の両方を最大化させることが重要
・省人化が進む世の中だからこそ、人と人との接触は重要
・コミュニケーションやフィードバックができる環境づくりを意識する
「顧客体験価値」という言葉と
「従業員体験価値」という言葉があります。
顧客体験価値は例えば飲食店でいえば、
お客さんがお店を選び、お店に入り、
注文し、食事をし、帰るまでの体験を通した
価値のことを指しています。
顧客体験価値を高めていくことはとても重要であり、
先日ある新聞記事を読んだ際に、
丸亀製麺は顧客体験価値を最大限高めていくために、
機械でのサービス提供ではなく、
人が行うサービス提供に徹底的にこだわる
ということを打ち出しているそうです。
「他の飲食店チェーンが省人化に向かう今こそ、
人の力で感動を生み出す唯一の存在になるチャンス」
どこまでいっても人が人を喜ばせる社会
という考え方がベースになっているようですが、
近年の機械化の波に対して、
逆に大きな差別化要因となり、
実際に丸亀製麺の顧客体験価値は日本屈指となっており、
2022年ではグラフィックスという会社が行っている
顧客体験価値ランキングで1位を獲得しています。
顧客体験価値を高めていくためには、
実際の接客だけではなく、広報部分から、
お店の雰囲気、注文のしやすさなど、
顧客が通る一連の体験を充実したものにする必要があるため、
一部分だけ良いものにすればよいということではなく、
総合的な価値の最大化が重要になります。
これは幼稚園でも同じであり、
こどもや保護者が園を選択し、実際に入園し、
卒園するまでの体験を充実したものにすることは、
その後の経営において大きな影響を与えることは間違いありません。
一方で近年重要性が増しているといわれているのが
「従業員体験価値」です。
最近では中居正広さんがタイミーのCMに出演し、
CMの最後に「無料で長期雇用につなげることができる」
という部分を打ち出した内容になっています。
タイミーはスポットワーカーということで、
マイナスの印象がある部分もありますが、
タイミーを入口として採用につなげていくということが、
飲食店やスーパーマーケットなどの業種では
当たり前になってきています。
この流れの中で、重要視されてきているのが
「従業員体験価値」です。
従業員が働く中での体験価値を最大化させることが
採用戦略においてとても重要になってきているのです。
タイミーを例として挙げさせていただきましたが、
幼稚園では昔から実習からの採用率を高めましょう、
という話がよく言われてきました。
実習での体験価値を最大化させていくことは、
採用に結び付けていくためには重要です。
従業員体験価値を高めるためには具体的には
・笑顔で挨拶が交わされる職場
・質問を気軽にできる雰囲気づくり
・充実した休憩室
・考え方などを示した基準づくり
・動画によるマニュアルづくり
などがその例として挙げられます。
また、最近では飲食店などで実際に行われていることとして、
bottoというアプリがあります。
このアプリは従業員がその日の仕事を振り返るというアプリで、
投稿した1日の振り返りを「みんなの声」として集約し、
店長や社員がフィードバックするという仕組みです。
上記の仕組みは部活動などで選手とコーチ、
監督などとのやり取りでよく使用される
振り返りノートを参考に作られています。
コミュニケーションが自然と取れることや、
「放置されていない」という安心感が離職率を低下させ、
職場の雰囲気を良いものにすることに繋がっているようです。
「フィードバックはギフトである」
とGoogleでは言われているようですが、
職場内のフィードバックは従業員体験価値を
高めていく上で重要な視点であると考えられます。
幼稚園でも園児募集、採用の観点で、
「体験価値」を高めていく取り組みはとても重要です。
ホームページから問い合わせの導線、
実際に足を運んでもらってからの対応、
入園や就職をしてからの園内の環境など、
もう一度自園を通して得られる体験について、
価値を最大化させていくという視点に立ち、
振り返りをしていくことが重要です。
特に最近では保育時間が延び、ICT化され、
園内での職員同士での直接的なコミュニケーションが
取りづらい状況になってきています。
コミュニケーションが取れることや、
フィードバックをしてもらえる環境は、
これからとても重要となります。
職場の環境づくりは経営情報の見える化が
行われる来年度以降も重要です。
ぜひ「従業員体験価値」、意識をしておきましょう。